この記事では、若手研究者が企業に就職した時に、どのように生き残っていくかという方法をまとめました。
まずはじめに、ぼくのことについてお話ししたいと思います。
ぼくは、社会人5年目の化学メーカーで研究開発を行っている若手研究者です。
つまり、大学院から数えると、7年間研究生活を送ってきたことになります。
そこでこの記事では、社会人になってから技術者として結果を残すためにぼくが実践してきたことをまとめてみたいと思います。
ぼくが社会人経験を通して感じたのは、「現役技術者の働き方に関する情報が少ない」ということです。
なのでこの記事では、これから技術職を目指される学生の方々や新社会人の方々の参考になるような内容を書きました。
よかったら参考にしてみてください。
書類はきちんと整理しましょう。 実験用の書類であれば、テーマごとに分け、購入した機器や、試薬のデータシートもいつでも取り出せるように種類ごとに整理しましょう。 会社では、重要な資料がたくさん出てきます。 もちろん「無くしましたwサーセンw」では絶対に済みません。 例えば、外部の機関に提出しなければいけない実験データが記載された書類など、なくなっては取り返しのつかないものは結構あります。 「必要なものを、必要な時に、すぐに取り出せるようにする」 それを常に意識していきましょう。 パソコンのファイル整理も、几帳面にやっておいたほうがいいです。 パソコンのデスクトップに、何のファイルだかわからないものが散らばったりしてないですか? どのテーマのどの実験か、ちゃんとわかるように整理されてますか? ぼくは、パソコンのファイル整理は「研究テーマ」「実験の種類」「実験データのまとめ」「書類」というふうに細かく分けています。 なぜかというと、上司に実験結果を報告した時に「あのデータも見せて!」と、急に不意打ちを食らうことがあるからです。 時には、半年前や1年前、最高では3年前のデータを引っ張りださなければいけない時もあります。 そういう時に、焦らずすぐにデータを取り出すことができるでしょうか? もしできていないなら、キチンを整理をして、どれだけ昔にやった実験でも後追いできるようなファイル整理を心がけましょう。 ノートの整理は超重要です!! なぜなら、外部の機関に研究成果を提出する際には「生データ」が必要だからです。 それがなければ、いくらいいデータを出しても信頼性に欠けます。 どのような機関に研究成果を提出するかは企業によって変わってきますが、場所によっては抜き打ちでノートの提出を求められるところもあります。 実際、ぼくの務めている会社は医療機器を開発しているので申請時の書類作成はかなり慎重に行います。 その書類は、ノートに書いてある「生データ」をもとに作成されます。 そのノートをきちんと書かずにデータの信頼性が証明できないのは言うまでもありません。 最悪の場合、申請が通らず商品を製造販売できないという事態もありえます。 なので、ノートはしっかりとわかりやすく詳細を記録するように心がけましょう。 おまけですがぼくは実験ノートはこういうふうに、縦に3本線を引いて書いています。 そしてそれぞれの列に対して、1つの実験を記録するようにしています。 なぜ、こういうふうにノートを書いているのかというと、企業ではいくつかのテーマを1人で掛け持ちすることがあるからです。 その時に、1つのテーマにつき1冊のノートを持ち歩くのはかなりめんどくさいですよね? ですが、こういうふうにノートを書いていると、いくつかのテーマを並行してまとめることができます。 具体的には、それぞれの列に、上から「実験ナンバー」「研究テーマ」「実験タイトル」「日付」を書いていきます。(仕事のノートを出すわけにはいかないので、ダミーノートを例として載せてます) ノートの上の方にこういうふうに実験番号と何のテーマの実験なのかを書いていると、他のテーマとごっちゃになることはありません。 1ラインにつき1つの実験を書くことで混乱せずに記録を残すことができます。 正直、周りでこのようにノートを取っている人は1人もいません。 ですが、ぼくはこのやり方をオススメします。 その理由は、無駄にたくさんの実験ノートを持ち歩かなくて済むし、1冊のノートでいくつもの研究テーマの生データを管理することができるからです。 1つ1つの実験にナンバーをつけることによって、似たような実験をいくらやっても、データ整理で混乱するようなこともありません。 実際、5年間この方法でノートを書いてきて、大きな問題が起こったことは一度もないです。 今でも1年前や2年前のノートを参考に実験を組み立てることもあるくらいです。 ノートの書き方については人それぞれ好みはありますが、とにかく自分自身がわかりやすいような整理の仕方を考えましょう。 他の研究者たちと差をつけるためにも、自分の強みを見つけることが重要です。 ぼくの強みは「几帳面さ」で、幸いこの能力は研究職をやる上でとても役に立っています。 その能力をフルに仕事に発揮し、書類やデータなどを細かくわかりやすく整理しています。 そのおかげか、データ管理に関しては困ったことはほとんどありません。 それに、「データを紛失しちゃって取り返がつかない!」なんて事態になったこともありません。 またぼくは、実際の業務では主にサンプルの分析を行っています。そのため、データの量はとても多くなります。また、1つ1つのサンプルの違いにも敏感にならなければいけないため、ここでも「几帳面さ」が威力を発揮しています。 自分の長所を見つけ、それを仕事に生かすことはとても大切です。 それが、周りの人との差別化につながり、自分自身の存在価値を確立することにもつながります。 自分の強みを見つけたら、与えられた研究テーマの中でそれを最大限に発揮できるものを見つけましょう。 そして、その研究テーマで、できるだけ早く成果をあげるようにしましょう。 新入社員の時期は、とにかく何か一つでも自分の強みとなる実績を作るべきです。 そうしないと、実力を認めてもらえません。 社歴ばかり重ねて、これといった強みがないと、肩身の狭い思いをするハメになります。 自分の強みを活かし、結果が残せそうな研究テーマに力を注ぎ、そこで結果を残すように努めましょう。 結果を残すためには、最高のパフォーマンスを発揮しなければなりません。 重要な仕事があれば、最もコンディションの良い朝のうちに終わらせましょう。 そうすることで、必要なものに力を集中することができ、少ない仕事量で最大限の結果が得られるようになります。 1番重要な仕事が終われば、その日の残りの時間はすっきりした気持ちで仕事に臨むことができます。 最悪なのは、朝の1番コンディションがいい時に誰にでもできるような雑務をやって、重要な仕事に注ぐべきエネルギーを無駄に使ってしまうことです。 そうすると、ここぞというときにミスを連発してしまい、何の成果もあげられないまま1日が終わってしまうこともあります。 これは仕事を楽しくするために重要なテクニックです。もちろん、自分自身の成長にもつながります。 ゲーミフィケーションとは「ゲームの夢中になって楽しめる仕組みを他の分野にも応用する」という考え方です。 ぼくは、自分の仕事に「制限時間」を設け、仕事の「難易度」と「達成率」に応じて仕事を採点し、獲得した点数に応じて自分に「ご褒美」を与えることにしています。 それによってどういうメリットがあるのかというと、まず挙げられるのは「仕事が楽しくなる」ということ。 その他にも、制限時間を設けることによって、その仕事にどれくらいの時間がかかるかを見積もることができるようになる。 難易度を設定することによって、その仕事を完了させるためには何をしなければいけないのかを考えるようになる。といったメリットが挙げられます。 それに、難易度を考えると、その仕事を冷静に評価することができるようになります。 仕事に対する難易度をきちんと考えないと、心のどこかで難しい仕事をただ単に「面倒くさい」で片付けてしまいます。 ですが、それは実は面倒くさいのではなく、ただ単に自分に実力が足りないだけなのです。 自分に実力があれば、面倒くさいなんて考えないはずです。自分には何ができて、何ができないのか、それを冷静に考えるためにも、仕事の難易度を評価することは大切です。 自分自身を成長させるためにも、お手本にする人は慎重に選びましょう。誰の言うことを聞くかで、その人の伸び方は変わってきます。 自分が認めた人の言うことであれば、前向きに捉えることもできるし、行動に移すときのモチベーションも上がります。 ぼくが判断基準として考えているのは「自分に厳しい」「周りに優しい」「知識が豊富」「もちろん実験スキルもある」「結果を残し続けている」といったところです。 そういうふうに、自分が尊敬できる人を見つければ、その人に追いつこうと努力するようになりますし、間違った方向に無駄な労力を費やさないで済みます。 まずは、人の真似から始めるという意識を持って、自分が認めた人のいいところをどんどん真似て成長していきましょう。 そのためにも、誰に従うべきはをきちんと考えましょう。 笑顔で話すことを忘れない 人と話すときにはできるだけ笑顔で話しましょう。少し笑うだけでも雰囲気はだいぶ良くなります。 コミュニケーション能力は研究職においても「必須」の能力です。 どうしても、商品を開発する上では大量生産への落とし込みをしなければなりません。 その時は、自分1人の力でできることはほとんどなく、たくさんの人と連携をとりながら仕事を進めていきます。 なので、笑顔を忘れないようにしましょう。そうするだけでもだいぶ、円滑にコミュニケーションを取れるようになります。 周囲の人に無駄なストレスを与えない 人とコミュニケーションをとるときは、無意識のうちに人に不快な思いをさせていないかを考えましょう。 人と良い関係を築くためには、相手を楽しませるということも大切ですが、相手に嫌な思いをさせないということも同じくらい大切です。 人間関係は「減点方式」の傾向が強いように感じます。どれだけ周囲にとってプラスになることをしていても、マイナスの部分が残ってしまえば意味がありません。 まずは、無駄なストレスを与えないということに気をつけましょう。 弱いものイジメが好きな人にペコペコしない 新入社員が入ってくると、決まって偉そうにしてくる人がいます。そういう人には、弱みにつけこまれないように気をつけましょう。 ぼくは新入社員のうちから、そういう人にはペコペコしないように気をつけていました。 そうしないと、どんどん相手のペースに引き込まれ、無駄なストレスを与えられたり、無駄にエネルギーを消費してしまいます。 何も成果がなく、早く結果を残さなければいけない新入社員の時期に、無駄な人間関係で時間やエネルギーを消耗している暇はありません。 入社したばかりで、先輩にそういう態度をとるのは少し怖いし、はっきり言えない部分もあると思うのですが、できるだけ相手のペースに引き込まれないように気をつけましょう。 そういうひとに引っかからないためにも、人を見る目は鍛えた方がいいと思います。よく人を観察することが大切です。 自分の牙をあからさまに表に出さない いくら野心があっても、それをあからさまに表に出してしまっては敵ばかりが増えてしまいます。 そういう牙を持った人に対して、出てくる芽を摘もうと過剰反応する人は割と多くいます。 自分の中で「上司や先輩を追い抜きたい」という気持ちがあるのであれば、それは自分自身が最も力を発揮すべきときのためにとっておきましょう。 例えば、実験をする時や、研究成果をプレゼンするとき、今後の方針を決める会議など、実力が試されるような場面では遠慮なく自分の実力を発揮しましょう! ですが、そういう態度を何気ない日常生活の中で常に表に出してしまうと、無駄に敵が増えてしまいます。 一番スマートなのは、実力を発揮すべき場面とそうでない場面を区別することです。 そうすることで、無駄に敵を増やさず、人間関係を円滑に保ちながら結果も残せるようになります。 知識は出口がないと入ってきません。出口を作りましょう。 それを実現するために、ブログは最高のツールだと言えます。 自分が得た知識を、読者にできるだけわかりやすく、具体的に説明することを意識してみましょう。 そういう経験は、論文を書くときや、研究成果の報告書作成、プレゼンを行う時にも役に立ちます。 出口を作って、知識を循環させなければ自分自身は成長しません。 さらに成長するために、アウトプットする機会を設けましょう。 ブログだと、うまくやればもしかしたら小遣いを稼ぐこともできるかもしれません。 以上が、ぼくが5年間で培ってきた若手研究者が生き残るためのノウハウです。 新入社員の時期は、わからないことが多く、悩むこともたくさんあります。 そんな時はこの記事を読んでなにかヒントをつかんでいただけたらと思います。
1.書類整理
2.パソコンのファイル整理
3.ノート整理
4.自分の強みを見つける
5.どのテーマで結果を残すかを考える
6.その日1番重要な仕事から終わらせるようにする
7.ゲーミフィケーションを仕事に取り入れる
8.人間関係の築き方
誰に従うべきかを考える9.番外編:ブログを始める
まとめ